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webディレクターの日々の記憶

デザイン解剖展は非デザイナーこそがいくべき

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六本木の21_21DESIGN SIGHTでやっているデザイン解剖展に行ってきた。ディレクターは佐藤卓さん。

 

商品開発や大量生産品のパッケージデザインを多く手掛けるようになって、ある時、デザインの視点でものを外側から内側に向かって解剖するというプロジェクトを思いつきました。デザインという言葉には、形や色といった目に見える視覚的印象が強くありますが、もともと「設計」という重要な意味が含まれます。例えば食品の場合、味や口の中での感触も設計されているのであれば、それもデザインなのではないだろうか。ものを解剖するというイメージを頭に描くと、このような疑問が次々に湧いてきました。デザインを、ものを見るための方法としてとらえること。つまりものや環境を理解するために、デザインをメスにすることができるのではないだろうかと思ったのです。全ての物事に何かしらのデザインが内在するのであれば、必ずデザインを頼りに解剖ができるはずなのです。

 

順に一つ一つのプロダクトを通して、外側から内側へ、どういった意味があって、どういった理由で、どんな事を考えて、なぜそうしたのか、なぜそのアプローチを取ったのか、掘り下げていく工程をデザインの解剖というキャッチーでわかりやすい言葉でまとめられていて、思考の訓練としての場でもあったんじゃないかと思う。

 

ともすればデザインという言葉は、グラフィックデザインやロゴデザインなど、表層的な認知のみされる事もあるけれど、実際の所、そこにいきつくまでの設計や思考のプロセスこそがデザインの中核となる物なので、今回の展示会は出来上がったプロダクトからまるで逆再生のようにスタート地点へ戻っていく作業を行うような感覚もあり、それは思いきりどっぷりと浸かれば非常に労力のいる事だった。(時間的には要約をメインに見ていったけれど)

 

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解剖は続けていくと、思いもよらない事に出会う事もある。それはプロダクトデザインも然り、プログラミングも然り、マーケティングや事業戦略も、友達との関係も、恋人との関係も、家族の絆でさえも。意図的であるかどうかという前提すらも関係なく、物事を掘り下げるというのはメリットもデメリットも包括的に真理へ辿り着くひとつの手段である。何事にも原因は存在する。いつか原因を忘れた日にはその原因を包んでいる得体の知れない物体は形を変えて、硬く、そしてとてもいびつに僕たちの目の前に現れる。その時、僕たちはそいつの本来の姿や名前を思い出す事は出来るだろうか。

 

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物事の本質をどう捉えるか、そして目の前に転がる課題をどう解決していくか、それを考える事がデザインの本質であり、それは必ずしもデザイナーだけの仕事ではない。だからキャッチーに調理されたこの展示会は例えばデザイナーじゃない人間が見てそこから自分の思考のトレーニングにつなげられると面白いのかなあと思った。

 

 

意訳:普通にプロダクトデザインの解剖によって、分解された各要素がどのように形をなしていくのかというのが見れて面白い展示会でした。お洒落なカップルが多かったように思います。あと男子のパーマ率・スキニーパンツ率・スニーカー率も高かったです。あと来場者はやっぱり業界っぽい空気を醸している人たちもいて、なんとなく展示会見ながらも若干の仕事的な空気を感じてしまった事も記載しておきます。ちゃんと文章や要約されたテキストを読まないと雰囲気で終わっちゃうのでこれから行く人はちゃんと読む事をおすすめします。